TG Grand Vision 150(東北学院大学中期計画)
東北学院大学2022年度重点項目
「わたしたちは知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。」(新共同訳聖書コリント信徒への手紙 第5章3節)
2022年度は、本学が2名の教師と6人の生徒で「仙台神学校」として創立されてから136周年、1891年に「東北学院(North Japan College)」と改称し広く生徒を募集し普通科を設置してから131年となる。東北学院大学が新制大学に昇格した1949年以来の大改革である五橋キャンパス開学と新学部新学科の届出による設置が間近に迫ってきた。
2022年度は、東北?北海道地区最大の私立総合大学としての地位を確固たるものとし、来るべき創立150周年となる2036年度の将来像の礎とし、飛躍への基礎を固める年度として位置付ける。本学が東北地方における「知と人材の集積拠点」として、学修者本位の教育と建学の精神を基礎とする特色のある教育を行うことにより、教育の質的向上及び質的転換を図ることは自明の課題である。2021年度私立大学等改革支援事業補助金タイプ1「特色のある教育の展開」の採択に至らなかったことは、本学の教育改革に未だ改善の余地があるということである。すなわち、教育力向上と研究力向上を両輪とした、管理運営面が一体となった改革が最優先課題となる。
本学の建学の精神である、「宗教改革の「福音主義キリスト教」の信仰に基づく個人の尊厳の重視と人格の完成」は、スクールモットー「LIFE LIGHT LOVE」で表され、これを体現する教育と研究の業により人材を育成することが本学の特色と強みとなる。
TG Grand Vision 150第Ⅱ期中期計画(2021年度-2025年度)(以下、「TGGV150」という。)は、この教育?研究をどのように達成していくかをKGI(重要目標達成指標:Key Goal Indicator)として指標化し、「地域へ 世界へ よく生きる心が育つ東北学院」として本学のブランド力を高める重要な計画となる。
この計画及び達成指標に基づき、2022年度の学長特別重点項目と学長重点項目を以下に示す。
1. 特別重点施策
1.1 教育?研究
- 学位授与の方針に掲げる知識と能力を兼ね備えた人材を輩出するために、教育内容の充実を図り、社会に求められる人材を育成する。
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2023年度入学生向けの「教学上の3つの方針」の改定手続きを2021年度中に行った。これからの時代は予測困難な時代ともいわれる。その中でも教養教育センターと高等教育開発室は、現代社会に求められる大学となるため、本学を卒業する学生が共通して有する幅広い知識と教養に加え、専門教育による知識と技能を修得し、「何を学び身につけたか」を自らが説明できる学修者本位の教育を施す重要な教育組織となる。
ポストコロナ時代を見据え、これまで対面授業で得られなかったキャンパスミニストリーを取り戻すための教育を一層充実させるため、全学部学科?授業レベルにおいて点検?評価活動を一層高め、教学マネジメント体制を強化し、内部質保証の質的向上を目指す。
これと同時に、2023年度にはONE CAMPUSとしての強みを活かした教育?研究活動をより一層高められるよう、2023年度の教学組織改編計画を整備し、届出による学部改組を実施する。
TGGV150 No.
- B202
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内部質保証のためのアセスメントプランの着実な実行
実施主体部署:政策支援IR課、各学部 - B203
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「東北学院の教育方針」(押川(1891))を基礎とし、時代に即した教学組織編成と教養教育及び専門教育が接続した教育の提供
実施主体部署:教学組織改編推進室 - B205
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教養教育と専門教育の接続を有機的に行い、キャンパス統合のメリット及び総合大学としての強みを活かした東北学院大学の教育力の向上
実施主体部署:教養教育センター、各学部
- 研究体制の整備及び研究活動の活性化により、独創的かつ先進的な研究を創出する。
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科学研究費補助金に関するアドバイザー制度や研究支援制度の導入により、2022年度科研費申請件数は84件となり、採択は78件のうち24件(30.7%)と効果が表れ始めている。
その研究力をさらに伸ばすためにも、産学官連携を通じた特色ある研究を生み出し、産学官ネットワークの構築及び連携プロジェクトを推進するための体制整備と、地域のニーズと大学が保有するシーズのマッチングを高めるシーズ集の改定、仕組みの検討等に着手して頂きたい。これらの取り組みにより、地域と共創する大学として更なる研究力向上を目指す。
TGGV150 No.
- B212
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産学官連携による共同研究強化
実施主体部署:研究機関事務課
- 学長のリーダーシップにより、建学の精神を基礎とした学位授与の方針に即した効率的かつ効果的な教育を実施する。
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2021年度にDX推進委員会を設置し、e-ポートフォリオ構築部会が始動することとなった。これまで検討を重ねてきたe-ポートフォリオは「TG folio」と名付けられ、教員向けリーフレットの作成や開発業者の選定など具体的な作業が進んでいる。
2022年度は「TG folio」の一部導入に向けた具体的な構築フェーズが実施される。このe-ポートフォリオを用いて、学修成果を可視化させることを、学修者本位の教学マネジメント体制確立の1つの起点とする。
2023年度入学生より「TG folio」を全学部に導入することで、学生の学修成果と教員の教育成果を可視化し、点検?評価による継続的な改善により、内部質保証の質的向上を目指す。
また、文部科学省「数理?データサイエンス?AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」(以下、「MDASH」という。)の認定は2022年度の必須項目となる。
TGGV150 No.
- B215
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学修成果の可視化のためのe-Portfolioの構築と運用
実施主体部署:教務課、教学DX推進委員会、e-Portfolio構築部会
- 学生支援の充実により、学生が安心して入学から卒業までの学生生活を送ることができる。
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学生一人ひとりの潜在能力を伸ばすために、リメディアル支援からレベルアップ支援まで、学力向上のための教育サポートと幅広い学習サポートを行うラーニング?コモンズや、検討中の学習支援課についてはその在り方のみならず、2023年度に実装するための検討が急務となる。またBYOD(Bring Your Own Device)に対応した支援体制を整備、運用する。
TGGV150 No.
- B217
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学生の能力を向上させるための教学支援の体制構築、実行
実施主体部署:教養教育センター、ラーニング?コモンズ、各学部
1.2 社会貢献
- 地域の課題解決を図る社会貢献型事業を展開することによって、地域の持続的発展に貢献する。
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2021年5月に締結した産学官連携の新しいプラットフォームは、本学が主幹校となって5年間続けた「知(地)の拠点?地方創生事業(COC+)」の後継事業として、地域社会と大学を繋げるものであり、地域連携センターを中心に事業を進めることになる。その中で、データサイエンスなど地域の産業社会のニーズを汲み取った地域連携の可能性を探る。
特に、TGGV150第Ⅰ期中期計画においても掲げられた総合ボランティアセンターの設置は、地域に根差した大学として、ボランティア活動の強化を図り、地域の持続的発展に貢献し、地域のニーズと学生のボランティア活動をマッチングする仕組みを作ることとなる。未来の扉センターと併せ、総合ボランティアセンター設置計画の完成と、2023年度からの運用の具体案を提出頂きたい。総合ボランティアセンターの設置により、地元商店街との連携や震災復興のボランティア活動による地域連携を強化し、地域貢献に繋がることになる。
TGGV150 No.
- B220
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地域の持続的発展に貢献するためのボランティアステーションの体制強化
実施主体部署:地域連携課、地域連携センター - B222
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地域連携強化及び地域貢献に繋げるための正課?正課外における地域フィールドワークの実施
実施主体部署:地域連携課、各学部
- 学生が地域社会と積極的に交流する機会を設けることによって、豊かな人格形成と地域社会との信頼関係を構築する。
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ポストコロナの時代になりつつある中で、正課もしくは課外活動の一環として、小中高生を対象とした催事を開催し、地域社会との共生を実現させる。これらの事業は各キャンパスにおいて実施されていたものをONE CAMPUSへ集約し、これまでの経験を踏まえ新事業計画として立案し実行に至るまでの検討及び2023年度計画を、2022年度中に示して欲しい。
これらの事業を通じて、東北学院の魅力を発信するとともに、同窓生や地域社会に東北学院をPRし、イメージの向上につなげる。
TGGV150 No.
- B224
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地域社会との共生をめざした企画?運営の検討?実施
実施主体部署:地域連携課、学生課、政策支援IR課
1.3 管理運営
- 併設高校との高大接続教育の推進
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2022年度は、東北学院高等学校及び東北学院榴ケ岡高等学校のTG推薦入学希望者は増加傾向にある。さらに東北学院高等学校においては共学化され、新入生が633名となるなど、2025年度においてはTG推薦希望者が増加することが予測される。両校とも、TGコースの充実を図る必要があり、少子化に一層拍車のかかった15才人口の取り込みが難しいことを理解しており、TG推薦の生徒に対してプレカレッジやTGタイムなど、本学教職員を講師として様々な入学前教育を実施してきた。
今後、TG推薦の生徒に対し、大学側においても学力の向上と学内における良きリーダーとして活躍できる生徒が入学することを期待しており、2021年度は引き続きアセスメントテストの実施や総合的な探求の時間への協力関係を強め、両校と連携して推薦入学者の質の向上を図る企画を進めていく。
TGGV150 No.
- B227
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設置校からの入学者の質的向上と定員の確保
実施主体部署:政策支援IR課、各学部
2. 重点施策
2.1 教育?研究
- 大学院教育の点検?評価と社会人入学生の獲得
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「東北学院大学ハイブリッド授業大学院構想」の承認など社会人大学院生を受け入れる体制を整備した。2023年度開学の新キャンパスは、向学心にあふれ専門知知識を求める社会人の学びを推し進める立地となる。つまり、ハード面とソフト面が整うことになる。大学院の定員充足化に向けた取組みを進め、社会人の学びなおし等のプログラムを具体的に検討するため、2022年度は各研究科及び各専攻においてに点検?評価を実施し、課題の抽出と具体的な改善施策を打ち出して頂きたい。
併せて、新設学部に対応する研究科構想の計画の具体的な検討を始める必要がある。
TGGV150 No.
- B232
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大学院教育の抜本的改革の実現
実施主体部署:教務課(大学院委員会)
- 建学の精神に基づくキリスト教教育の継続
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建学の精神の中枢を担うのがTGベーシック「人間的基礎」におけるキリスト教学及び聖書の授業科目である。
ポストコロナ時代を見据え、卒業時意識調査において「『キリスト教学』の授業や大学礼拝を通じて人格教育を受けた」と評価する卒業生70%(2019年度実績)を75%に向上させるという目標(KPI)の達成に向け、引き続き歩みを進めなければならない。
そのため、実施主体部署においては、東北学院大学おけるキャンパスミニストリーを充実させ、本学に入学した学生であることの実感を得て、建学の精神を体現する人材を養成するための工夫がさまざまになされなければならない。
礼拝の通常開催を再開することや、2022年度2年生及び3年生を中心に、1年次に得られなかったキャンパスミニストリーを経験することにより、本学学生としての帰属意識を高めて欲しい。
TGGV150 No.
- B206
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キリスト教学及び聖書の授業内容の改善及び大学礼拝の見直し
実施主体部署:宗教部、宗教音楽研究所
- 学位授与の方針に基づく英語教育の検証と向上に向けた新たな教育プログラム開発
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現在、英語教育センターにより進められている全学の英語教育は、2023年度より教養教育センター外国語教育部門に機能を継承して「英語の東北学院」を支えることになる。本学学位授与の方針においては「高度な知的活動に必要な汎用的諸技能?能力及び英語力を活用できる。」との学修成果が示されており、その測定?評価による学修成果の可視化はe-ポートフォリオにも連動する。そのため、本学学生が共通して有する「英語力」を修得するための英語力向上を目的とした教育プログラムを見直すことによって、英語教育を更に強化する施策の具体的な案を検討して頂きたい。
TGGV150 No.
- B209
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英語力向上のための教育プログラムの見直し、強化
実施主体部署:教養教育センター、英語教育センター
- ICTを活用した教育?学習環境の実現とBYOD(Bring Your Own Device)導入による多様な授業形態の提供
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ICT活用を推進するため、教育?研究をサポートするネットワーク基盤の再整備を行う。これに基づき、ネットワークの高速化、無線LAN環境などを充実させることによって、教職員や学生の利便性及び安全性の向上、運用管理の効率化、ICTコスト削減を実現し、遠隔授業等多様な授業形態を提供できるようにする。
また、特別重点施策においても記載しているが、MDASHはこれからの高等教育機関においては必須のリテラシーとなることからも、2022年度の認定に向けた申請作業と受講者数の増加を目指し、MDASH+(数理?データサイエンス?AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル プラス))の申請準備にもあたって頂きたい。
TGGV150 No.
- B214
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ICTを活用した教育?学習環境の実現とBYOD(Bring Your Own Device)導入による多様な授業形態の提供
実施主体部署:教養教育センター、情報システム課、各学部
- 東北学院大学らしく「一人の学生も迷うことなく」入学から卒業までの学生支援と進路支援の強化
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充実した学生生活を支援するために、給付型奨学金の拡充、心身に関する相談体制及び課外活動支援を強化し、学生の資質?能力を向上させる。東北学院大学らしく「一人の学生も迷うことなく」を実現するために、通学もままならず、大学生活になじめず、就職活動もできずに卒業もしくは退学に至る学生を未然に防ぐことは重要である。メンタルに不調をきたす学生を見過ごすことはできない。対面授業の段階的な再開にあたっては、大学2年生及び3年生にも、これまでの2年間で得ることができなかった、入学時に思い描いていた学生生活を取り戻し、東北学院大学の学びの満足度や学生生活の充実度の向上を目指す施策を講じて頂きたい。
また、学生にとって最適な職業選択が実現できるよう、大学として就職に関する目指すべき方向性と戦略を明確化し、その実行に関する多様な就職支援講座の開設等を継続して実施して欲しい。さらに学生が自ら最適な進路?就職の選択ができるよう大学院進学支援、就職支援講座の開設や、オンラインでの就職指導などの充実を図って頂きたい。
TGGV150 No.
- B218
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充実した学生生活を送るための学生支援体制の整備
実施主体部署:学生課、学生総合保健支援課 - B219
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学生を最適な進路に導くための就職支援体制の強化
実施主体部署:就職キャリア支援課、教務課(教職課程センター)、学生総合保健支援課学生課
2.2 教育?研究
- 生涯の学びの場を提供することによって、地域社会の多様な学修意欲を喚起する。
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2020年度から2021年度はコロナ禍により、地域社会の幅広い年齢層に向けた講座を積極的に開催することが困難な状況でもあったが、開催方法のオンラインへの変更だけではなく、感染症対策を十分に講じてできる限りの公開講座等を実施してきた。
2022年度は球探足球比分_篮球比分直播-劲爆体育感染症の対策を行いつつ、これまで以上に地域社会の多様な学習意欲を喚起する事業を再開して頂きたい。また、2021年度にも掲げているリカレント教育センター(仮)の設置検討、公開講座の情報等の一元化、幅広い層への公開講座の実施、地域住民等への再就職支援プログラムの実施、広報活動の成果等を具体的に明示して頂きたい。これに加え、学内の研究成果を一般に示すことを目的として、東北学院大学MOOC(massive open online course)の構築と公開を具現化するように新たな実施主体部署で検討課題の急務としたい。
TGGV150 No.
- B223
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地域社会の幅広い年齢層に向けたリカレント教育の体制構築
実施主体部署:地域連携課、研究機関事務課
2.3 管理運営
- マーケットエリアの拡大と志願者層の引き上げ
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2022年度入試より複数併願割引制度を導入し、前年度比130%を超える志願者を得ることができた。2020年度入試から3年連続志願者増を達成できたことは、アドミッションズ?オフィスをはじめとする各学部による成果である。
2023年度はキャンパス統合と新学部学科設置のみならず、ONE CAMPUSの特性を活かした分野を超えた学びや、時代?地域のニーズに叶った東北学院大学の魅力を発信することで、マーケットエリアのさらなる拡大を目指し、実受検者数の増加につなげたい。そのため、既存学科の魅力も十分に伝え、新キャンパスと新学部が既存学部への志願にも相乗効果をもたらすことに期待したい。本学が仙台駅の徒歩圏内に集約されることは、山形、福島、岩手の隣接各県からの受験生をいっそう引き寄せることとなり、エリアの拡大と志願者層のレベルの底上げによって、「受験生から選ばれる大学」としての地位を確固たるものとするものである。
TGGV150 No.
- B226
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東北地方以外からの志願者数を確保するための広報活動の充実
実施主体部署:アドミッションズ?オフィス
TG Grand Vision 150 東北学院中長期計画及び第Ⅱ期中期計画
(2021~2025年度)
TG Grand Vision150東北学院中長期計画及び第Ⅱ期中期計画(2021~2025年度) (PDF:4.9MB)